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学生のアイデアが100人の1歩に|真岡まちづくりプロジェクト「まちをつくろう」|とちぎのSocialGood
今回は真岡市の中心市街地で、まちづくりを行う「真岡まちづくりプロジェクト まちをつくろう」(以下、まちつく)をご紹介します。
プロジェクトを運営する林さん
まちつくの運営に携わっている、真岡市役所の林 大輔(はやし・だいすけ)と申します。
私は兵庫県明石市生まれで、栃木県に引っ越してきました。そのときに感じたのは、栃木県は自然があって、ほどほどに便利で住みやすいまちだということです。
ただ、住んでいる方たちは、あまり栃木県のことを良いと言いません。活動している真岡市内の高校生を対象とした居住調査では、市内に住み続けたいと回答する高校生の割合は急落しています。
そのような背景もあり、自分が住むまちにもっと愛着が生まれてくれるといいな、という想いを持ちながら、まちつくに携わっています。
まちつくとは?
まちつくは2021年4月から始まり、「1人の100歩よりも、100人の1歩」を掲げて市民の手によるまちづくり社会実験を行ってきました。
これらの活動は高校生や大学生を中心としたメンバーのやってみたいことを、地域で暮らす大人たちや私たち市役所職員が面白そうと後押しや実現のサポートをすることで形にしてきました。
それでは、具体的な活動内容について説明したいと思います!
活動内容
①「学生のアイデア×公共空間」から生まれる社会実験の数々
まちつくは、毎年新たなメンバーを迎えながら活動しています。
1期生は20人、2期生は41人が参加し、関わってくれた人たちを合わせると延べ100人以上が真岡市のまちづくりに携わってくれました。
真岡市役所のすぐ傍を流れる「五行川」の河川緑地や「二宮コミュニティセンター」でマルシェとドッグラン、その他、文化財である「金鈴荘(きんれいそう)」での演奏会を開催するなど、これまで活用機会の乏しかった場所で新たな動きが生まれています。
②反響の大きかった寺子屋企画
様々な社会実験を行ってきた中でも、大きな反響があったのが「寺子屋」です。
冬休みと夏休みにそれぞれ3日間ずつ、高校生と大学生が市内の小中学生に勉強を教える企画です。
初日にきたお子さんの親から「残りの2日間も来させてもいいですか」と嬉しいお言葉をいただきました。
初めは、まちつくのメンバーだけで勉強を教えていたのですが、2回目以降は教えてくれる人をSNSで募集。休みの期間でたまたま帰省していた大学生が、「1日だけ参加してもいいですか」と、参加してくれたこともありました。
「勉強なら教えられるし、時間があるし、何か面白そう!」と、積極的に関わってくれていたことに驚きましたし、企画を通して新たな繋がりが生まれていることを実感できる企画でした。
活動への想い
①思い描いていたワクワクと始まりのドキドキ
まちつくが始まるときは
・「プロジェクトへの関わりから真岡市への愛着が生まれて、真岡市を離れた後も地元に戻ってきてくれるかも!」とか
・ 「活動する学生の姿を見た大人たちも影響を受けて、何かしらのアクションを起こすのではないか」
といった、ワクワクした気持ちでいました。
一方で
・「行政が募集するまちづくりの取り組みに応募する高校生や大学生なんていない」
・「20人も集まるのか」
という声を聞くことがあり、募集の際にドキドキした気持ちでいたことを憶えています。
結果、定員を超える応募があり、ほっとしたのも束の間、学生を集めて意見を聞くだけに終わらず実行に移すことを公言していたので、「恰好よく言ったものの実行できなかったらどうしよう…」と心の中で思っていました(笑)
②アイデア実現に欠かせない裏方のサポート
学生たちから出たアイデアについては、なんでやってみたいのかを掘り下げるようにしていて、よくよく聞いていくうちに内容が変わってくることもあります。
反響の大きかった寺子屋企画も、もともとはドーナツ屋さんをやりたいというアイデアで、「放課後に空き地でドーナツを売りたい」と聞いたときに「君たちだったら買うかな?どこでつくるの?」という疑問を投げかけてみると、「いやぁ…」といった反応でした。
地域の人たちとの繋がりをつくりたい気持ちは伝わってきたのですが、美味しくないドーナツは買ってもらえないので、すぐに実現することは難しい。
じゃあ自分たちにできるのは何だろうと考えた結果、勉強に辿り着き、おやつでドーナツを提供することになりました。
そういったアイデアの深堀りだったり、後押しだったり、必要な資材の支援や法律の確認といった、実現に欠かせない部分を大人たちがサポートしています。
大人が自分たちの役割を理解して学生よりも前には出ず、仕事が忙しくても利益にはならなくても手を貸してくれる、そういったマインドを持っている人たちの存在があるからこそ、まちつくは成りたっています。
③学生の一生懸命な姿や喜ぶ姿を見て大人も感化される
まちつくに関わってくれている学生の動機は様々で、面白そうと思ってもらえていることが一番多いかなと思いますが、将来のことを考えて行動している子もいます。
自分の地域のために何かしたい。将来は大学でまちづくりを学んで地元に戻って貢献したいと、募集時の志望動機欄にびっしりと書いてくれた学生もいます。
実際に活動が始まると、高校生も大学生の忙しさを実感することもあり、テスト勉強の合間を見つけて、遅れてでも参加してくれる子もいます。
そういった活動への想いや様子を見たときに、大人たちもちゃんとやらないとなと、改めて責任を感じるとともに、原動力へと変わっていきました。
「やりたい、やってみたい」と思っている学生や市民(大人)が、「実際にやってみよう」と一歩を踏み出すとき。それが実現して、「次回はいつ、何を開催しようか」と話しているとき。参加してくださった方が喜んでいるときに、私たちも嬉しいし、その姿を傍で見れることがやりがいに繋がっているのだと思います。
今後の展望
参加者してくれていた高校生が大学生となり、インターン生として活動してくれたり、真岡市の地域おこし協力隊が運営に携わったり、引き続き大人たちも関わってくれたり、と活動が続いています。
今後はなるべく自走できるようにNPO法人化し、歩み続ける予定です。
大学の先生が言っていた「100人の一歩」という言葉がいつのまにか浸透し、まちつくの合言葉みたいになっているのですが、100人が一歩を踏み出せば、それを見た周りの人がどんどん影響を受けてまちが変わっていきます。
これまで、まちづくりに関する取組はあまり行われていなかった真岡市ですから、逆に言えば、全部ブルーオーシャンだと思いますし、活動が始まったら変化が早そうです。
当初狙いにあった、学生が地域で活動している姿を見た大人たちから「私たちもやってみたい!」といった相談もあり、大人の活動をサポートする「まちつく✖(クロス)」が動き始めています。
市役所近くの空き店舗をお借りして、シェアキッチンやシェアオフィスとなる拠点づくりにも取り組みますので、作ることにも、使うことにも多くの方に参加していただけたら嬉しいです。
とちぎのしゅし「栃木で挑戦しようとしている人に一言、お願いします!」
きっとこれからチャレンジする方たちは、自分のまちが好きで、栃木県が好きで、ここでチャレンジをしてくれるのだと思います。その好きを信じて挑戦してくれれば、きっと仲間になって、一緒に取り組んでくれる人が増えると思います。もっと、好きを発信しましょう!
参加・寄付の情報
まちづくり拠点をつくるリノベーションワークショップを開催予定です。
また、何かやりたいけど、どうしたらいいか分からないという方のために、毎月第3水曜日の18~20時に青空ステーションにて、マチツク相談会を開催しています。
そのほか、8/7〜8/9に寺子屋ドーナツや、9月頃には複合交流拠点の建設工事の仮囲いを利用した、障害者アートのワークショップを開催予定です。
その他、図書館や社会福祉協議会とのまちつく×(クロス)事業も企画、開催していますので、SNS(インスタ、Facebook)をフォローして、ご応募ください。
団体の基本情報
団体名 | 真岡まちづくりプロジェクト「まちをつくろう」 |
活動ジャンル・テーマ | まちづくり、中心市街地活性化、公共空間の利活用、市民協働、100人の一歩、生涯学習 |
活動エリア | 真岡市の中心市街地(真岡市役所周辺、久下田周辺) |
活動開始 | 2021年 |
スタッフの数 | 大人メンバー7、地域おこし協力隊2、事務局3、学生多数 |
住所 | 真岡市荒町5191 |
メールアドレス | project@city.moka.lg.jpmokamachidukuri@gmail.com |
団体HP | 市ホームページ |
SNS | Instagram:https://www.instagram.com/mokamachidukuri/Facebook:https://www.facebook.com/mokamachidukuri |
編集部コメント
学生の意見を聞くだけで終わらず、必ず実行するんだという気合いがすごい!
アイデアを出して形にすることにもすごく時間がかかっているかと思いますが、それを実現するために地域の大人たちに声をかけ、場を整えてきた運営側の方々は本当に多くの時間をかけてきたのだと思います。
ここ2〜3年のまちつくの取組を通して、真岡市内で様々な動きが生まれ、影響をうけた人たちがいることからも、真岡市のまちづくり界隈に新しい風を感じました。今後の動きがとても楽しみです!
多くの人にこの記事が読まれますように!
そして、地域で良い活動がもっと増えることを願います。
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この記事を書いた人
藤本尚彦
リサーチ・ライティング担当
県南エリア在住
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