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那須烏山で地元の同級生とジュースを製造・販売|烏合の手|とちぎのSocialGood
今回は那須烏山市で、地産品の製造販売、イベントの企画実施を行う「烏合の手(うごうのて)」をご紹介します。
烏合の手 齊藤さん
烏合の手の、齊藤 貴広(さいとう・たかひろ)と申します。
大学進学時に地元の那須烏山を離れた後、宇都宮や鹿沼で建築関係の仕事に携わりました。その後、20代後半で地元に戻ってからは、母が営んでいる設計事務所で仕事をしています。
建築の仕事とは別に、高校から付き合いのある仲間たちと「まちのため何かできないかな」と考え、活動を始めたのが「烏合の手(うごうのて)」になります。2014年に団体設立後、地元の野菜・果物を使用したジュースの製造や販売、地域でのイベント企画・実施をしてきました。
活動メンバーは私を含めて4人。それぞれが本業を営んでいることや、生活環境の変化に伴い、現在は活動が縮退している状況です。その状況と併せて、烏合の手についてお伝えしたいと思います。
活動内容
①那須烏山の作物を使用したジュースの製造・販売
地元の野菜や果物を使用したジュースの製造・販売をしています。ジュースの種類は全5種類。トマト、りんご、梨、ゆず、そしてコーラをこれまで作ってきました。原料となる野菜や果物は、自分たちで育てたものもあれば、地元の農家さんや市役所から分けていただいたものもあります。
1種類につき年間約400~500本、夏場に人気のあるコーラは年間約1200本を製造し、那須烏山にある「山あげ会館」の物産コーナーや観光協会、那須塩原市内のカフェなどで販売してきました。
これまで種類を増やして販売を続けてきたジュースですが、ここ数年はトマトや梨の不作、農家さんとの関わり方の変化によって、現在(2022年3月)は、ゆずを使用したコーラだけを販売しています。
②地域のイベント企画・運営
那須烏山市では夏に伝統的なお祭り「山あげ祭」が三日間にわたって開催されます。
夏場の暑い時期のお祭りなので、「涼める場所が増えたらいいな」との考えから、私の事務所を祭りの期間だけカフェとして開放しました。
そのような取組みを何年か実施した後、「もう少し規模を大きくしたい」と思うようになり、事務所と駐車場のスペースを使用したマルシェを二日間開催したことがあります。
マルシェには世界チャンピオンになったことのあるピザ屋さんや、ワンコインでヘアメイクする美容室などが出店。4店舗ほどの規模ではありましたが、その二日間はキラキラとした空間がつくられていました。
お祭りの時期とは別に「たくあん」を漬けるワークショップを開催したこともあります。漬物樽を参加者が持参し、私たちは大根や漬けるのに必要な材料を用意。
300本くらいの大根を育てて収穫した後、干して、計量し、当日に漬けるといった流れで、地元で育てた大根を使用したワークショップを5年間ほど開催していました。
活動への想い
①活動を始めたきっかけ
活動のきっかけが訪れたのは、大みそかに高校の同級生と話している時でした。何かこのまちに対して働きかけるというか、「まちのために何かできないかな」という話になったんです。
話していたメンバーは私を含めて4人。1人は色々な作物を育て、1人はジュースを加工し、もう1人は農地を幾つか持ち、私は建築関係の仕事をしていました。
東京、埼玉、那須烏山でそれぞれが自営業を営み、30歳を超えてある程度仕事が落ち着いてきた頃。「まちのために何かできないか」という話は膨らみ、それぞれの持ち味を活かす視点から、地元の野菜や果物を使用したジュースを作ることになりました。
ジュースにしやすそうなトマトから作ることを決め、3月に種まきを始めて、秋頃にはトマトジュースが完成。大みそかの会話から1年足らずの早さでしたが、完成までの過程を楽しみながら進めていました。
②活動開始から7、8年経ち思うこと
烏合の手が始まった当初は、「なんとかしなくちゃ!」という気持ちが強かったんだと思います。昔からあるお店がどんどんなくなり、まちの様子が変わっていく姿を、ただ見ているだけではいられませんでした。
本業とも関わる話なのですが、自分たちの住むまちが寂しくなることで仕事が減っていく懸念もありました。何か手を加えることで、自分たちが動くことで、きっと「まちが良くなる」という想いを抱いていましたね。
ただ、7、8年たって、私たちの働きかけが「大きなものにならなかった」といいますか、「本当にまちのためになっていたのか」「まちが元気になったのか」というと、どうなのかな?と疑問に思うこともあります。
自分たちの活動を知っている一部の人たちは応援してくれていますが、地元での反響はそこまで大きくなく、自分たちの楽しみで活動していた部分が強かったのかもしれません。
また、実際に活動を続けてきて思うのは、本業との兼ね合いで活動の継続が難しいことです。特にここ3、4年は仲間に家族ができたり、仕事での役割も大きくなったり、烏合の手の活動時間を作るのが難しく、ジュースを作り続けるのもどうなんだろうかと迷っています。
今後の展望
生活手段として営んでいる仕事ですと、60~70歳くらいになって事業を引き継ぐと思うのですが、私たちのような活動だと、もう少し若い段階で代謝していくことが必要なのかなと思います。
ここまでやってきたので活動を続けたい気持ちはあるけれど、思うようにジュースが売れない状況なので、どのようにしたら良いか悩んでいるところです。
ふるさと納税の返礼品や那須烏山市のブランド品として選ばれているので、販売種類を増やしたり、販路を拡大したり、しっかりとやればある程度は稼げるんじゃないかなとも思っています。
できれば「志」というか、私たちと同じ気持ちを持ってくれていて、ある程度時間も確保できる若者が引き継いでくれたらいいなと考えています。自分たちもバックアップできるところは支援しますし、そのままお渡しする形で引き継いでくれる方を探していきたいと思います。
栃木で挑戦しようとしている人に一言、お願いします!
自分たちがやりたいように、1人でもいいから行動に移すことが大事だと思います。大きく構える必要はなく、楽しくやればいいと思いますよ。一緒に栃木を盛り上げましょう!
参加・寄付の情報
活動を引き継ぎたい方、話を聞いてみたい方はご連絡ください。
団体の基本情報
団体名 | 烏合の手 |
活動ジャンル・テーマ | 地産品の製造販売、イベント企画実施 |
活動エリア | 那須烏山市 |
設立年 | 2014年 |
スタッフの数 | 3名 |
住所 | 那須烏山市金井2-8-2 |
メールアドレス | takahiro@hiroe.net |
SNS | https://www.facebook.com/ugounote |
編集部コメント
取材後に烏合の手さんのコーラを持ち帰って飲んだのですが、「もっと飲みたい!」と思いましたし、「他の種類も飲んでみたい!」とも思いました。
地元の農家さんとも連携しながら種類を増やし、地元のブランド品として認定されるまでに至ったジュースではありますが、活動が引き継がれることなく消えてしまうことを想像すると寂しい気持ちになります。
「まちのために何かできないかな」から始まった活動でしたが、実際に行動した後のこと、継続することの難しさなど、これから活動する人や既に活動している人も、同じような壁に将来ぶつかる可能性があるのかもしれないと思いました。
同じ想いを抱く人、想いを共有できる人が現れ、活動が継続していくことを願うとともに、今後も情報発信を続けて少しでも活動を広められたらと思います。
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この記事を書いた人
藤本尚彦
リサーチ・ライティング担当
県南エリア在住
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