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旧小学校から広がる地域の暮らしと面白さ|NPO法人くまの木里の暮らし|とちぎのSocialGood
今回は、栃木県塩谷町を中心に、地域振興、都市農村交流、子どもの健全育成、環境保全を行う「NPO法人くまの木里の暮らし」をご紹介します!
事務局長の加納さん
「くまの木里の暮らし」の事務局長、加納 麻紀子(かのう・まきこ)と申します!
大学卒業後、都内で「農村地域における環境教育活動の普及・推進」などに携わりました。
その後、知人からの紹介を機に転職し、塩谷町で活動して約10年になります。
「くまの木里の暮らし」は、塩谷町から委託を受けて、元小学校の校舎を活用した宿泊型体験交流施設を運営しています。約120年間続いた「熊ノ木尋常小学校」は平成11年3月に閉校し、平成14年4月から星ふる学校「くまの木」としてオープンしました。
この施設を拠点にした活動を説明していきたいと思います!
活動内容
①宿泊施設の運営
星ふる学校「くまの木」は、自然豊かな環境に建つ木造校舎です。
教室を改装し、和室・洋室・和洋室の全8部屋を宿泊施設として提供しています。
宿泊者の多くは首都圏から訪れ、学童保育の集団宿泊体験、スポーツ合宿、小学校の修学旅行など、様々な目的で施設を利用されています。
子どもから大人まで宿泊できますが、元小学校に宿泊する子どもの姿が、なんとも良いんです!泊りにきた小学生が元気に走り回ったり、歌をうたっていたりする様子を見たときに、「小学校はこれだよな」と感激しました。
②体験プログラムの提供
栃木県塩谷町は、人口約1万人程の小さな町です。山と川と田畑に囲まれた自然豊かな環境の中で、様々な体験プログラムを町内外の方々に提供しています。
各種の体験プログラムは私たちスタッフだけでなく、地域の名人・達人と呼ばれる人たちに先生役として活躍していただくものもあります。
また、東京から合宿に訪れた漫画のアシスタント養成学校の方々が、町内の子どもたちを対象に漫画教室を開いてくれることもありました。
塩谷町内の小学生4~6年生を対象にした「くまの木自然クラブ」では、田んぼの生き物調査や、野鳥の観察、わら細工体験などを定期的に実施。塩谷町の自然の中で「体験した楽しいこと」を、子どもたちの心に残るよう取り組んでいます。
活動への想い
①仕事を通して気づいた農村の魅力
前職で「農村地域における環境教育活動の普及・推進」に関わり始めたときは、正直、農村地域にあまり興味がありませんでした。
就職するまで農村地域への関わりが乏しかったので、都会に比べたら田舎は刺激が少なく、つまらないイメージだったのです。農村の「癒し」「やすらぎ」と言われても、大学を卒業したばかりの私にはしっくりきませんでした。
しかし、農村地域と関わっていく中で、見え方、考え方が少しずつ変わっていきました。
春夏秋冬で風景が全く違ってどれも新鮮なこと、行った先の農家の方々がエネルギッシュなこと。特にチェーンソーで何でもパパッと作る姿を目の当たりにした時は衝撃的でした。
農村は「癒し」と言われていますが、「面白いこと」や「刺激」もあることに気づいてからは、どんどんハマっていきました。
②現場で働く人に惹かれて塩谷町へ
推進する立場だったので、全国各地の様々な現場を見に行きました。農家さん、学校の先生、研究者、市民活動している人など、出会いの中で現場で働く人たちに少しずつ惹かれていきました。
推進する仕事は面白かったのですが、現場で活躍する人たちを「かっこいいな」と思いはじめ、ご縁があって現在に至ります。
恩返しという表現があっているか分かりませんが、「地域のために」という想いと、これまで関わってきた方々への「感謝の気持ち」を忘れずに活動しています。
農業のことは素人ですが、都会から来る人たちの繋ぎ役として、農村の楽しさ、大切さを伝えていきたいです。
③現場で感じるやりがい
以前、テレビの撮影が来た時に、地元の人たちがすごく盛り上がって喜んでくれたことがありました。
もう2年前のことなのですが、まるで記念日のように覚えていて、今でも話題になることがあります。
また、塩谷町で地震速報や大雨警報がでた時に、何度もこの場所を使用している方が心配して電話をくれたことがありました。気にかけてくれている人がいることは私たちにとっても、この町にとっても力になると感じています。
星ふる学校「くまの木」は、木造校舎の廃校、色んな人が出入りする場所、自然豊かな環境を兼ね備えています。だからこそ、色々なことが起きて、その場所に自分がいることがやりがいにもなっています。
コロナによる影響と活動
首都圏から宿泊に訪れる方が多かったので、施設利用者(宿泊利用)は激減しています。
体験プログラムは、感染防止のために内容を変更して実施することもありますが、地域のご高齢の方にかかわっていただくものは感染のリスクが大きいため、実施を見合わせています。
私たちだけでなく、宿泊、交流を担う団体はどこも利用者減の状況かと思います。自然体験活動分野でも参加者減、それ以前に思うようにプログラムを実施できないでしょう。
コロナ対策としては、業界団体の作成した運営のガイドラインを参考にしています。施設は、設置者である町とも調整しながら、コロナ禍においても利用や交流を続けていけるような運営を検討中です。
今後の展望
全国各地で大小問わずさまざまな活動がいっぱいあって刺激を受けています。
地域の人たちから「いいね!」と言ってもらえるようなことや、その人たちと一緒に活動し、ともに成長したり、支え合っていきたいです。
自然の営みの中に自分の暮らしがあることへの「希望」や「気づき」を広げていけたらと思います。
「くまの木、いいね」というところから、「塩谷町、いいね」「栃木県、いいね」、ひいては、「農村、いいね、大事にするよ」という人を増やしていけたらとても嬉しいですね。
まずは自分自身が田舎暮らしを楽しみながら、軽やかに活動することを目指します。
「栃木で挑戦しようとしている人に一言、お願いします!」
挑戦している人の姿が誰かの力になって、また新たな挑戦を呼ぶと思います。挑戦しようとしている人がいる地域っておもしろい。その挑戦する姿勢がとってもいいぞ!笑
参加・寄付の情報
通常通りに体験プログラムを開催することはなかなか難しい状況ですが、冬季限定の味噌づくりプログラム(手前味噌のしこみ)は、年明けから受け付け予定です。
また、遠出は控えたいけれど、気分転換にお泊りはしたいな・・・という県内の方々、ぜひご宿泊もどうぞ。
寄付につきましては、絶賛受付中です!
https://kumanoki.jimdofree.com/%E5%85%A5%E4%BC%9A%E7%94%B3%E8%BE%BC-%E5%AF%84%E4%BB%98/
団体の基本情報
団体名 | NPO法人くまの木里の暮らし |
活動ジャンル・テーマ | 地域振興、都市農村交流、子どもの健全育成、環境保全 |
活動エリア | 栃木県塩谷町 |
NPO設立年 | 2001年 |
スタッフの数 | 5名 |
住所 | 塩谷郡塩谷町大字熊ノ木802 |
メールアドレス | info@kumanoki.or.jp |
団体HP | https://kumanoki.jimdofree.com/ |
星ふる学校「くまの木」HP | https://www.shioya-kumanoki.com/ |
編集部コメント
自分の通っていた小学校の近くを通ると、ふと昔の思い出がよみがえることってありませんか?
校庭で遊んだこと、教室で勉強したこと、面白かったことも、恥ずかしかったことも、今では良い思い出ですよね。もし、通っていた学校が廃校になり、跡形もなくなったら。思い出すきっかけが減るだろうし、なんだか寂しい気持ちになりそうです。
地元の人たちが過ごしてきた思い出の場所を残して、別の使い方をするってステキな取り組みだと思います。それに、夜の学校で泊るのって、何だかわくわくしてきますよね!
星ふる学校「くまの木」で、自然豊かな体験プログラムを楽しんだり、子どもの頃を思い返しながら利用、宿泊してみてはいかがでしょうか。
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この記事を書いた人
藤本尚彦
リサーチ・ライティング担当
県南エリア在住
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