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「仕事だから」なんだろうか|公私混同的生活考 #1
「真剣にやれよ!仕事じゃねぇんだぞ」
タモリさんのこの言葉を人づてに知った数年前、新たな扉が開いたような気がした。
これはプライベートな遊びの約束に遅刻してきた仲間に対して、タモリさんが怒ったときの言葉。
「仕事だから」真剣にやるのではなく、「好きだから」真剣にやるのだ。
それまで「仕事だから」という頑張り方に心のどこかで誇りを持っていた自分に対して「なんで?」と違和感を持つきっかけになった。
タモリさんの「仕事じゃねぇんだぞ」には、たぶんネタ的な要素もある。でも実際、仕事も真剣にやるのなら、まず「好きだから」という前提があったほうが楽しい。
それって公私混同になるんだろうか。というか、それじゃダメなんだろうか。
私は現在、フリーランスの編集者・ライターとして、東京に住みながら週に1度くらいは地元の栃木に戻る「ソフト2拠点生活」みたいなことを6年間くらい続けている。
そんな頻度で地元に戻っているいちばんの理由は、高校生の頃から習っている茶道のお稽古に通うためで、もうひとつは両親が営んでいる有限会社大滝の手伝いをするため。
そもそもフリーランスという働き方を選択しているのも、こういった活動と両立するには、仕事の場所や時間を自分自身で調整しやすくする必要があったからだ。つまりこれも、いうなれば「公私混同」。
考えてみれば、昔から公私混同な生き方をしている大人に囲まれて育ってきた。
まず第一に、家業を営んでいる両親もそうだし、お茶の先生も自宅を教室にしているし、他にも、小さな商店を営んでいる人や農業などをしている生産者さんなど、自ら事業をしている人が多い。
どの人にも共通しているのは、「生きること」と「働くこと」が限りなく近い日々を過ごしているところ。
だけど「日本むかし話」の世界を想像してみるに、そもそもの人の暮らし方ってそういうものだったんじゃないかと思う。
そういうわけで「真剣にやれよ!仕事じゃねぇんだぞ」を「真剣に生きろよ!」と、何倍にもこんがらがって解釈した私は、とうとう「公私混同」なんてテーマでエッセイを書くことになった。
人は完全に公と私を分離させることはできない。
では、そのなかで幸せに生きていくには?
この連載を通じて、公私混同的な生活について考えをめぐらせていければと思います。
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この記事を書いた人
山越 栞
企画・編集・ライティング
日光エリア・東京在住
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