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無自覚の「面倒くさい」を乗り越え、文章を愛でよう|書いていこうよ、プロじゃなくても|#7
こんにちは、ライター・編集者として活動している山越栞です。
この連載は、書くことを通じて、より多くの人が自己実現に近づくことを願い、「プロじゃなくても書いていこうよ」「なにもしないより書いたほうがきっといいよ」と伝えていくものです。
たとえば今いる環境に閉塞感を抱いている人、やりたいことはあってもどう吐き出すべきか模索中な人に読んでもらえたら嬉しいです。
特に第7回のこの記事では、「文章を書くことがわりと好き」「もっと素敵な文章を書けるようになりたい」と思っている人に、私が今さら気づいたことをシェアさせてください。
器用さ抜きで、文章を純粋に好きだった頃
第4回の「書きたい文章のサンプルを見つける」のなかで、”プロじゃなくても個人でさらりと素敵な文章を書くひとはたくさんいます”と書かせてもらいました。
そして、”そんなひとたちの文才は、普段から「書きたい文章を読んでいる」うちに育まれているきがします”とも。
今回は、この部分を掘り下げてみようと思いました。
なぜなら私自身が最近、書き手として良くない「器用さ」を身につけてしまったように感じたからです。
インタビューや取材記事などでクライアントの意図に合ったものを書くのは、たぶん昔よりも上手になれたはずだけど…何となく、自分の文章から「書くことが好き」といった感情が伝わってこないような気がしていました。
ライターになった今よりも、作文が好きで小説家を目指していた小学生の頃の私や、曲の歌詞を自分に投影したり、秀逸な表現に感銘を受けていた中高生の頃の私のほうが、もっと純粋に文章が好きだったかも。
そして、その頃のことを思い返してみると、きちんとその「好き」という気持ちを味わっていたなと。
面倒くさがらずに、好きな文章をじっくり愛してみる
ここ数年も「素敵だな」と思う文章にはたくさん出逢ったけれど、せいぜいTwitterで「ここがよかった」とツイートするのが関の山。無自覚のうちに、「好きだな」を味わうのを面倒くさがっていたように思います。
惰性でスマホをいじる時間があるくらいなんだから、いいなと思った文章ともっと戯れる時間をつくればよかったのに。
そんな日々のなかである日、自分をかえりみるきっかけがありました。
コロナ禍で暇を持て余し、断捨離でもしようかなと思い立ったときのこと。10代の頃のらくがきノートを見つけたのです。
ページをめくると、かつての私が素敵だと思いメモしたフレーズたちが、愛おしげに並んでいます。
昔は、好きな文章を紙に書いて目に付きやすいところに貼っておいたり、それを声に出して読み上げてみたりと、今よりもっと「愛でる」ことに時間をかけていたことを思い出しました。
文章を書いて「向き合っている時間」はもちろん今の方が長いけれど、かつて「愛でていた時間」が、私をこうして今へ導いてくれたはずでした。
だからこれを機に、好きな文章に浸る時間を日常に取り戻してみることにしました。
やっているのはこんな感じです。
・読んでいて良いなと思ったフレーズを忘れないうちにメモしておく(スマホでも可)
・その中でも特に刺さったものはノートに書き写してあとで振り返られるようにする
・時間があるときはさらに音読して、ひびきの良さを体感する
・どの部分が良いと思ったのかを何となく分析しておく
・SNSやnoteなどで良かった旨をシェアして、発信する
心のどこかで面倒だと思っていたことも、実際にやってみると趣味のようになっているから不思議です。
文章をきちんと愛することが、その先の自分を養ってくれる
この間、とあるエッセイに強く心を動かされ、3,000文字以上の全文をお気に入りのノートに書き写してみました。
丸ごと書き写すなんて非効率だとはわかっていても「いいなぁ、いつかこんな文章を書けるようになりたいな」と思ったら、自力で書いて感じておきたいと思ったのです。
ペンを握る手がちょっと痛くなって、学生時代のテスト勉強みたいだったのもよかったけれど、改めて面白かったのは、そのエッセイの中でも特に好きな部分では書いていてワクワクし、字が踊っているようだったこと。
それから、書いていると「なるほどここに句点を打つんだ」とか「この言葉選び、あっぱれだな」とか再び感銘を受けたりして、手間をかけた分の価値もありました。
せっかくなので最後に音読もしてみたら、栄養のようにぐんぐん自分に浸透しているような感じで。
そっくり同じ表現をすることはできないけれど、こうやって楽しく文章を吸収していくことが、自分の文章を育てていくことにもつながるんじゃないかと、最近は思っています。
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この記事を書いた人
山越 栞
企画・編集・ライティング
日光エリア・東京在住
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