1. とちぎのしゅし
  2. 池上知恵子(ココ・ファーム・ワイナリー専務)|tochigi gene vol 3
池上知恵子(ココ・ファーム・ワイナリー専務)|tochigi gene vol 3
池上知恵子(ココ・ファーム・ワイナリー専務)|tochigi gene vol 3

池上知恵子(ココ・ファーム・ワイナリー専務)|tochigi gene vol 3

tochigigene

足利市

2、こころみ学園とココ・ファーム・ワイナリー

◆現在のココファームの運営はどの様にされているのですか?  

 

「ココ・ファーム・ワイナリーは、障害者を雇用しているの?」と聞かれることがよくあります。障害を持ちながら働いている人もいますが、どちらかというと「こころみ学園の園生たちが生き生きと暮らせるように」という想いがあって、できた会社です。

具体的にいうと、現在、こころみ学園は葡萄や椎茸を栽培して、ココ・ファーム・ワイナリーに納品しています。一方、ココ・ファーム・ワイナリーはこころみ学園に葡萄代や農産物や工芸品の仕入れ費用を支払ったり、学園生たちに、ワインの仕込みやビン詰めなど醸造場での作業を業務委託しています。

雇用ではなく業務委託にしているのは、皆に満遍なくお小遣いを配るため。

たとえばAくんがビン詰めに来ているときに、Bさんが台所でAくんが食べるニンジンを切っていたり、CさんがAくんの洗濯物をたたんだりしている。みんなができる範囲で、できることをしているので、AくんだけでなくBさんやCさんにもお小遣いが配れるようにしています。

ココ・ファーム・ワナリー ワイン製造  スパークリングワイン

◆どんな事が池上さんの活動のエネルギーとなっていますか?

あるビン詰めの日、レギュラーメンバーのDくんが来ていません。そこで宿舎にD君を迎えに行きました。Dくんは布団に寝ています。

「どうしたの?」 とたずねると、D君は 「け、け、仮病です」。

「そうかい、そうかい大変だ!ゆっくり寝てたほうがいいよ。」

なぁんてこともありました。(笑)

→そんな時、池上さんはどう解釈して、接するのですか?

仮病には、納得しちゃったから。

通り一遍の基準ではカバーできない事もたくさんあるんです。

その点、職員やスタッフのみんなは、大変な事も多い中で「気長」にやってくれている。

とても感謝しているし。頭が上がらない。

→なるほどぉ~~。

ココ・ファーム・ワナリー スタッフ 求人 とちぎのしゅし

みんなが自由にのびのびと働くため

園生みんなに配られた葡萄代金や業務請負のお金は園生みんなで自由に使います。お正月に浅草に行ったり、夏休みに海や温泉に行ったり。

3ヶ月に一度、買物実習があって市内のショッピングセンターへマイクロバスに乗って買物に繰り出します。3,500円が入ったお財布を握りしめて好きなものを買って、店員さんへお財布ごとだしてレシートとお釣りをお財布の中に入れてもらう。そんな風に買い物をします。

なかにはココワインを買って帰る園生がいたりして・・・。やっぱりきれいなマーケットに自分たちがつくったワインが並んでいるとついつい買ってしまうのでしょう。

ココ・ファーム・ワイナリー 葡萄畑とヤギ

こころみ学園の園生の最高年齢は94歳のTさん。150名の園生のほとんどが重度の知的障害を持っています。今まで、「障害者の自立」とか、「働き方改革」とか、「福祉と農業」とか、時代時代でいろいろ言われてきましたが、私達は目の前の事にたんたんと対応することしかできません。工夫はしていますが、人間らしくありたいという本質は変わっていないのかもしれません。

そして、具合が悪いときは仮病で寝たり、お天気のいい日曜日には畑仕事をしたり、自分がつくったものを買ってきたり・・・。「人間が働くということは、本来こういうことで良かったのではないか?」と思うことがあります。

障害があろうがなかろうが、みんなが自由にのびのびと働くためにも、皆さんに喜んでもらえる「ほんとうに上質なワイン」をつくりたいのです。

→上質なワイン造りの原動力に「園生達がノビノビ働ける為」「ワインを飲んだ方に喜んでもらいたい」という想いがある。園生との生活の中で「人間」の暮らしや働き方を考え直す機会も多いのですね。

「3、園生に教えてもらうもの」 へ つづく

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この記事を書いた人

石川智章

「栃木のしゅし」総合統括

県南エリア出身

ライフデザイン、WEBマーケティングの分野で実績を出し、都内ベンチャー企業の経営を歴任。親の闘病を機に栃木と東京の2拠点生活を開始。
「栃木の魅力を『住む視点』と『訪れる視点』から再発掘。人がイキイキできる仕組みを考えます!」
ライフデザイン、WEBマーケティングの分野で実績を出し、都内ベンチャー企業の経営を歴任。親の闘病を機に栃木と東京の2拠点生活を開始。
「栃木の魅力を『住む視点』と『訪れる視点』から再発掘。人がイキイキできる仕組みを考えます!」

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