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地域の自然と特色を活かす|渡良瀬遊水地コウノトリ交流館|とちぎのSocialGood
今回は栃木県小山市で、コウノトリや渡良瀬遊水地の情報発信、地域活性化を行う渡良瀬遊水地コウノトリ交流館(以下「コウノトリ交流館」という)を紹介します。

目次
コウノトリ交流館の施設管理・運営担当の伴瀬さん
コウノトリ交流館の伴瀬 恭子(ばんせ・きょうこ)と申します。
コウノトリ交流館は古民家をリノベーションして作られた施設で、2020年5月から主に渡良瀬遊水地の情報を届ける役割を担っています。
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施設の所有は小山市になりますが、運営はNPO法人わたらせ未来基金が行っており、私は団体職員として施設の維持管理に努めています。
今回はコウノトリ交流館の活動や、私が関わることになった経緯をお伝えするとともに、施設を運営する渡良瀬未来基金の活動についてもお伝えします。
コウノトリ交流館の活動内容
①情報発信
コウノトリ交流館は、コウノトリの観察スポットである渡良瀬遊水地(生井桜づつみ)からほど近い距離にあります。
館内にはデジタルディスプレイや写真が設置され、国の特別天然記念物であるコウノトリや渡良瀬遊水地の情報を得たい方々にピッタリな場所となっています。

コウノトリと聞くと「赤ちゃんを運んでくる鳥」をイメージする方もいますが、実は種類が違ったりします。「コウノトリについてよく知らない」といった人たち向けに、生態や歴史に関する情報も展示しているのでぜひご覧ください。
タイミングがあえば、「今日はこの辺りにコウノトリがいますよ」といった情報をお伝えすることもできますし、SNSで情報発信もしていますので、直接来られない方も良かったら覗いてみてください。
②地域交流の場づくり
コウノトリ交流館ではコウノトリの巣作りや、小山市渡良瀬遊水地エコツーリズムガイド協会による渡良瀬遊水地のヨシ(イネ科の植物)を使用したヨシ灯りのワークショップなど、様々なイベントが開催されてきました。

2022年4月には地元で活躍している人たちによるマルシェが開催され、地ビールが販売された他、私たちもブースをだして地域の方々と交流しました。

コウノトリのひなが生まれた後は、1日に100人以上の方が訪れることもありますが、それを上回る人たちが訪れて賑わいが作られていたのが印象的でした。
親子で楽しめる企画もあれば、大人が楽しめる企画もあるので、幅広い年代の人たちが交流できる場として活用されています。
地域おこし協力隊がきっかけで活動を開始
私が小山市で活動を始めたのは、地域おこし協力隊がきっかけでした。
協力隊になる前の私は千葉県に住んでいて転職先を探していました。偶然にも協力隊として活動している友人がいて、話を聞き活動に興味を持ったことから「私もやってみようかな」と思うようになりました。
そのタイミングで小山市で初となる協力隊の募集を見つけたんです。
小山市は私が生まれた場所でゆかりの地、さらに小山市初の協力隊で前例もなかったので、「未知数でなんだか面白そう」というワクワク感から応募し、2018年1月から活動することが決まりました。

協力隊のミッションは渡良瀬遊水地の観光地化推進でしたので、渡良瀬遊水地やコウノトリの情報発信、バスツアーのイベント企画などを2年ほど行い、コウノトリ交流館完成後は施設の運営に携わっていました。
協力隊の活動が終了した2020年12月には、今後の活動について思い悩む時期もありましたが、2021年4月から活動を再スタート。これまでのご縁からわたらせ未来基金の職員として、コウノトリ交流館に再び携わることになりました。
わたらせ未来基金の活動
私の所属するわたらせ未来基金では、ヨシ原の保全・湿地再生が課題となっています。
渡良瀬川上流の足尾は、約100年前の鉱毒事件による煙害などで、大規模に森林がなくなってしまいました。その時、土壌(土)も流されてしまいました。
一方、下流の渡良瀬湿地帯(遊水池)は、日本で本州以南最大のヨシ原を有する低層湿原となっています。そこに依存する絶滅危惧種が多いため、ヨシ原の保全・湿地再生のための活動を進めています。
①日本有数のヨシ原を守ろう
渡良瀬湿地帯での観察会(自然と歴史)を行なうとともに、地域のヨシ産業と連携し、ヨシ刈りやヨシズ編みを地域学習として取り組んでいます。また、新たなヨシの利用方法について学術機関とともに調査・研究を行なっています。
②足尾にふるさとの森を復活させよう
足尾にふるさとの森を取り戻すために、どんぐりの里親制度や、上流下流協働の植樹活動などをおこなっています。
③わたらせ流域プロジェクト
2011年から、渡良瀬遊水地湿地保全・再生プロジェクトを展開し、第2調節池においてモニタリングと湿地メンテナンスを実施しています。渡良瀬川流域のNPO・自治体などをネットワークでつないでいき、具体的な提案をしながら取り組んでいます。
今後の展望
「わたらせ未来基金」は、上流・下流の連携を進め、渡良瀬川流域の自然環境の保全・再生と環境保全型社会の構築をめざし、活動を継続していきます。
また、コウノトリ交流館では、渡良瀬遊水地のヨシで染められたハンカチやコースター、トートバックといったグッズ(私がヨシ染めしています!)や、地元の珈琲焙煎所と連携して作ったドリップバックコーヒーも販売しています。

コウノトリ交流館で販売しているおみやげは、売上の一部が渡良瀬遊水地の自然保護活動に使われます。オリジナルのコウノトリグッズなどがありますので、ぜひ遊びに来てください。
とちぎのしゅし「栃木で挑戦しようとしている人に一言、お願いします!」
私は面白そうだなと思う気持ちから行動し、そこから生まれたご縁が今の活動に繋がっています。やってみたいことがあれば、なんとなく面白そうかなぐらいの感覚からでも良いので、ぜひ挑戦してみてください!

参加・寄付の情報
企画展やイベントなどを不定期で開催しています。
チュウヒのねぐらいりの観察会や夏に開催されるツバメのねぐらいりの観察会、地引網でとった魚を在来種と外来種にわけて生態を調べるおさかなワイワイ大作戦、渡良瀬遊水地に生息する生き物を調査する生き物みっけ大作戦などの企画は特にお勧めです!
最新の情報はコウノトリ交流館のSNSをご覧ください。
団体の基本情報

施設名 |
渡良瀬遊水地コウノトリ交流館 |
活動ジャンル・テーマ |
コウノトリをはじめとした |
活動エリア |
小山市内 |
設立年 |
2020年5月開館 |
スタッフの数 |
12名 |
住所 |
栃木県小山市下生井865-1 |
メールアドレス |
watarase.stork@gmail.com |
団体HP |
|
SNS |
https://www.facebook.com/watarase.stork/ https://www.instagram.com/watarase_stork/ |
団体名 |
特定非営利活動法人わたらせ未来基金 |
活動ジャンル・テーマ |
渡良瀬川流域の自然環境の保全・再生と環境保全型社会の構築 |
活動エリア |
渡良瀬遊水地、足尾 |
設立年 |
2001年 任意団体設立(2019年 NPO法人化) |
スタッフの数 |
6名 |
住所 |
栃木県小山市下生井865-1 |
メールアドレス |
info@watarase-mirai.org |
団体HP |
編集部コメント
コウノトリ交流館は年配の方々が多く訪れる場所となっていますが、イベントの内容は渡良瀬遊水地の自然に触れつつ生態を学べるような、子どもでも参加しやすい内容となっています。
マルシェのように20代の若年層も参加できるような企画も実施されているので、幅広い年代の人たちが訪れ、今後もコウノトリ交流館から様々な繋がりが生まれる予感がしています。
多くの人にこの記事が読まれますように!
そして、地域で良い活動がもっと増えることを願います。
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この記事を書いた人
藤本尚彦
リサーチ・ライティング担当
県南エリア在住
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