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「里山で楽しみながら学ぶ」サシバの里自然学校|とちぎのSocialGood
今回は栃木県市貝町を中心に「環境教育・自然体験・地域づくり」に取り組む「サシバの里自然学校」さんをご紹介します!
校長の遠藤さん
「サシバの里自然学校」の校長、遠藤 隼(えんどう・じゅん)と申します!
私たちの活動テーマは、里山で「遊ぶ」「学ぶ」「守る」です。遊びを入り口に「自然保護、里山保全」を理解しながら、仲間を増やすための「教育活動」をおこなっています。
「早速ですが、サシバの里自然学校って、どんな場所ですか?」
栃木県市貝町で絶滅危惧種のタカ「サシバ」と里山保全、地域づくりをおこなう施設です。
まずは、サシバと栃木県市貝町の関係からお話ししますね!
サシバと市貝町の関係
皆さんは「サシバ」を知っていますか?
サシバとは?
サシバはタカの仲間です。カラスほどの大きさで、見た目は茶色く、「ピックィーー」という鳴き声が特徴的なんですよ。春から夏にかけて日本に繁殖にやってきて、秋になると台湾やフィリピンといった南の国に移動します。
残念なことに巣を作る林や、エサ場となる田んぼが減少し、サシバは絶滅危惧種に認定されています。また、フィリピンでは密猟が問題となっているため、サシバの保全には国を越えた連携が必要なんです。
繁殖地としての市貝町
そんなサシバの世界有数の繁殖地が、実は市貝町にあります。市貝町は林に囲まれた田んぼ(谷津田)が多く、巣を作る林の近くにはエサ場となる田んぼも豊富にあります。
そこで、私たちはサシバがすむ自然豊かな里山で、人も自然も元気になる地域づくりを町と連携しながら進めています。
活動内容
①里山で自然遊び
サシバの里自然学校には、里山と田んぼがあり、様々な生き物が暮らしています。私たちはこの自然を活かした自然遊びを、親子や小学生を対象におこなっています。
トンボやカエルを捕まえたり、ザリガニや魚釣りをして生き物と関わる。田んぼで遊んだり、森を歩いたりといった野遊びをする。このように、生き物と触れ合うことで生き物を好きになり、体験することで「考え、学び」が生まれていきます。
遊びを入り口に子どもだけでなく、大人も一緒に楽しめる内容。そして、「楽しかった」で終わらず、価値観が変わるような体験を提供していくプログラムをおこなっています。
②広がる交流と活動
自然遊び以外にも、地元の農商業メンバーが集まった「サシバの里協議会」主催で、「縁側めぐり」というイベントを開催しています。サシバの里の農家や民家の庭・縁側を観光客に開放し、都市農村交流を図るイベントです。
他にも、日本国内だけでなく世界の人々とプロジェクトを進めることもあります。例えば、ぬか、藁(わら)などをコスメの原料や梱包材の原料として、イギリスに本社を置くコスメメーカー「LUSH」に提供することも!
私たちの交流・活動はサシバが「縁」になって繋がり、広がっています。これからも町内の農家や各団体との幅広い協力のもと、様々な交流事業をおこなっていきます!
活動への想い
①幼少期の体験
私の原風景は栃木の「里山」なんだと思います。
幼少期、休みのたびに友達と近くの川や田んぼの小川に入ってはドジョウを探したり、ワナを仕掛けて獲物をとったり…。そこで捕まえた川の生き物、見つけた野鳥や動物の全てが、思い出に残っています。
そんな風景を「次の世代の子どもたちに残したい」と思うようになってからは、「自然保護」の心の源は幼少期の思い出にあるのでは?と考えるようになりました。
②自然体験が欠かせない
今の子供達は、里山に入る機会も少ないですし、自然の中での遊び方を知らない子が多いですよね。本や動画から知識を身に付けることができますが、心に響きにくいのかなと思います。
自然に触れて、生き物と遊べる「リアル」な体験だからこその学びや思い出ってあるのではないでしょうか。だからこそ、自然学校のような存在と環境が必要だと思うんです。
「遊び×教育×保全=自然学校」それが今、私のおこなっている自然学校の姿です。
入り口は遊びです。遊びのその先に「自然保護」があると信じています。そして将来、自ら遊ぶ人、自分から動ける人に育ち、想いが引き継がれていけばいいなぁと思います!
コロナによる影響と活動
現在は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、FacebookライブやZoomを活用したオンライン自然観察会を定期的におこなっています。
オンライン開催により、遠方に住んでいる人が参加してくれることもあります。リアルだと目の前の数人にしか届かないことも、オンラインだと数千人に届くこともあるので、新たな可能性を感じています。
ただ、映像内の情報しか伝えられないんです。伝え方の工夫が必要だったり、リアルでは聞こえる鳥の声が聞こえないことも…。リアルの観察に勝ることはないですが、オンラインも上手く活動に組み込んでいきたいと思います。
6月からは参加人数を減らして今まで通り体験イベントも実施しています!
今後の展望
幼児向けの自然体験を進めていきたいと思います。
例えば、「森のようちえん」とかですね。一般的な幼稚園のような園舎が無く、公園などに集合して、リュックを背負って森を散策します。遠足のようなイメージが近いかな。
全国的に「森のようちえん」の活動が広がっている中、県内での活動の動きはまだまだ鈍く感じます。
今後は東京に本部のある「森のようちえん全国ネットワーク」とも連携し、県内での活性に向けたイベントやシンポジウムを開催していたいと思います。
「栃木で挑戦しようとしている人に一言、お願いします!」
『なにかに挑戦しようと思ったら、毎日続けても素直に「楽しいな」と思える活動をしてください。きっとあなたが無邪気に楽しむ姿から見える「想い」が皆さんに伝わると思いますよ!』
参加・寄付の情報
生き物が豊かな里山だからこそできる「体験プログラム」を提供しています。
・サシバの田んぼで農的暮らし講座
自然学校の体験プログラムは親子で米作りを経験する
https://www.sashiba-ns.com/2020kurashi
・野遊びようちえん
未就学児の親子で里山を楽しむ
https://www.sashiba-ns.com/2020noasobi
・子どもいきもの塾
小学生対象で生き物遊びから生き物を学ぶ
https://www.sashiba-ns.com/2020juku
団体の基本情報
団体名 | サシバの里自然学校 |
活動ジャンル・テーマ | 環境教育・自然体験・地域づくり |
活動エリア | 栃木県市貝町 |
設立年 | 2016年 |
スタッフの数 | 2人 |
Webサイト | https://www.sashiba-ns.com/ |
SNS | https://www.facebook.com/sashiba.NatureSchool |
編集部コメント
子どもの頃の思い出って、なぜか大人になっても色あせずに残っていますよね。私が一番記憶に残っている自然遊びは、川で父と釣りをしたことです。
「アユを釣るぞ!」と出かけたものの、小魚すら釣れず(笑)アユに限らず、魚って簡単には釣れないことを知りました。こういった体験ってしっかりと学びに結びつくんですよね。
今回ご紹介した遠藤さんの活動は、自然遊びが学びの入り口となっています。「楽しい」を大切にしている遠藤さんだからこそ、プログラムに参加する子どもたちが楽しく学べて、自然と心も育まれていくんだろうなぁと思いました。
子どもたちの興味津々な顔や笑顔の写真からも、楽しい様子が伝わってくるかと思います。是非、皆さんもプログラムを体験してみてはいかがでしょうか。大人もきっと楽しく学べますよ!
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この記事を書いた人
藤本尚彦
リサーチ・ライティング担当
県南エリア在住
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