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伊澤敦彦(吉田村ビレッジ 村長)| tochigi gene
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伊澤敦彦(吉田村ビレッジ 村長)| to...

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下野市

メイン 伊澤敦彦 吉田村ビレッジ村長 下野市 とちぎのしゅし

伊澤敦彦(いざわ あつひこ)

・有限会社伊澤いちご園 代表取締役
・イタリアンカフェバール ラーペロンツァ
・吉田村ビレッジ 村長
・吉田村まつり 主宰
・一般社団法人シモツケクリエイティブ 理事


伊澤さんは、下野市を拠点とする経営者です。家業の苺園、ジェラート事業、イタリアンカフェバール事業、農泊事業など、多岐にわたって事業展開されています。


今回は、その活動を生み出す発想や姿勢をおうかがいしていきます。


吉田村ビレッジへの歩み

>改めて、伊澤さんは現在、どんなことをされていらっしゃるんですか?


実家が「いざわ苺園」といういちご農家です。約10年前に私が都内から帰ってくるきっかけとなった「ジェラート事業」をスタートしました。


その後、近所の元農協施設をリノベしたイタリアンカフェバール「ラ-ぺロンツァ」。茨城県内でジェラートとスイーツの店「FARM’S GELATO&PASTRY」。世界遺産日光の二社一寺内の「西参道茶屋」で「日光ドラバタさん」。イベントとしては「吉田村まつり」と展開してきました。


そして、2021年に農泊施設「吉田村ビレッジ」をオープンする事ができました。

対談2 伊澤敦彦 吉田村ビレッジ村長 下野市 とちぎのしゅし

>ほんと、多岐にわたるご活躍ですよね。今回、やっと遊びに来れた「吉田村ビレッジ」がほんと素敵で。好きになっちゃいました。


ありがとうございます。この施設は私もとても気に入ってます。

おかげさまで色々な方に好評なんです。苦労したかいがありました。笑

※「吉田村ビレッジ」の紹介記事はページ最下部にリンクしておきます。

>この吉田村ビレッジはどのような流れで実現されたんですか?


はい、ここは元々、農協の施設だったんです。私が子供の頃は活用されていましたが、時が経ち別の場所に移転され、「使われなくなって古い施設」という状態で再会しました。

実家は歩いて10分程の近所で、家業が苺園という事もあり、農協との繋がりはもともとありました。そんなご縁から、9年前に一部の施設を買取り、リノベーションしてラーペロンツァというイタリアンカフェバールをスタートさせたんです。

ラーペロンツァ(イタリアンカフェバール) 吉田村ビレッジ 下野市 とちぎのしゅし

合わせて、定期的にこの空間をいかしたイベント「「吉田村まつり」を開催してきました。

※「吉田村まつり」の過去の取材記事はページ最下部にリンクしておきます。

行動がテストマーケティング

>なるほど。一部は前々から利用していて、イベントも定期的に開催してきたんですね。

はい。今考えると、イベントはテストマーケティングの役割をはたしていました。

>というと?

イベントをやるたびに、課題も含めて「見えてくるもの」や「気づき」がたくさんあったんです。

>なるほど。そこから問題解決を繰り返し、必要なものやノウハウを積み上げていったんですね。

そうなんです。色々な人に出会い、協力してもらいました。近所の人にも色々ご挨拶しましたし、イベントを手伝ってくれる仲間や出演してる方も増えていきました。駐車場がないから近くの「道の駅」や「駅」からシャトルバスを出したりと、その時その時「ああしよう」「こうしよう」と必死でしたね。

>そういった、一歩一歩があって、ようやくたどり着いた「吉田村ビレッジ」なんですね。

はい。ぼんやりとしたイメージは10年前にあったんです。色々な展開を経て、6年前にいよいよ本腰をいれて活用すると決断して、動き出しました。

施設正面 吉田村ビレッジ 下野市 とちぎのしゅし

この施設には農泊を軸に

・6名泊れる「グランピング施設」4~6名泊れる「2つの個室」という宿泊施設

・ベーカリー・ハンバーガー・ドリンクが買えるカフェ

・地域の花や野菜、農と色にまつわる様々なものをそろえたショップ

・簡単なワークショップなどができるコミュニティスペース

という機能をつくりました。

資金は借り入れと、クラウドファンディング、一部を市役所の方々と連携し補助金でサポートしてもらいました。2021年に無事にオープンする事ができました。

おかげさまでカフェも宿泊施設もご好評を頂いています。企業のワーケーションでも活用頂いたりと想定していなかったニーズもありました。

俺がやるよ

>すごいなぁ。同い年なので刺激になるし尊敬します。その原動力って何なのでしょうか?

最初は、代々続く実家の苺農家を継ぐって所から始まっていますね。

>家業を継ぐ事に、葛藤はあったんですか?

それが、なかったんです。世間のイメージでも「田舎の、特に農家って長男が家を継ぐ」って感覚があると思うのですが、私の場合「そういうものだ」って思ってたし、大人になっても俺が継ぐって思ってました。不思議と嫌とかなかったです。笑

対談 正面 伊澤敦彦 吉田村ビレッジ村長 下野市 とちぎのしゅし

>なるほど。いい家族関係だったのかもしれませんね。いつ地元にかえってきたんですか?

当たり前だと思えたので、そうかもしれません。

帰ってきたのは29歳の時です。それまでは都内で大手広告代理店の下請けが主なクリエイティブ制作会社でアートディレクターをしていました。

「40歳になったら地元に帰る」と漠然と考えていたのですが、父から新しい事業として「ジェラートをやる」と連絡があったんです。丁度、大手広告代理店へのキャリアアップ転職を進めていた時だったのですが、そこから何日か考えて「俺がやるよ」と連絡したんです。

>すごい決断。地元に帰るのを10年はやめたんですね。

そうなんです。人生計画が狂いましたね。笑。でも、自然と「今かな」と思えました。



当時、学生の頃から付き合ってた東京生まれ東京育ちの妻と結婚4年目で、長女もまだ小さく、いきなり「ド」がつく田舎に連れて帰るというのは、妻にも家族にとってもなかなかハードな想いをさせてしまったと思います。

>そうか。地元に帰るって、結婚するお相手も考慮する必要がありますね。一緒に来る判断をしてくれた奥さんは素敵ですね。

はい。ほんと妻には感謝しています。

あったらいいなぁ

>色々な展開をしている中で、大切にしていることを教えてください。

はい。「自分が」という主体性ですね。例えば、「自分が楽しむ」であったり、「あったらいいなぁ」というモノや場など、自分の想いや主観から始めると、そのエネルギーって継続しやすいと思います。

メンバーにも主体的に自分で考えるように伝えています。ただ指示を待つのではなく、自分で提案したり、改善する。社長と社員というよりは一緒にやっているという感覚。

自分で判断する事で成長すると思うので、できるだけ任せるようにしています。この辺を人に伝えるのは、なかなか難しいですが、今後も大切にしたいです。

対談 伊澤敦彦 吉田村ビレッジ村長 下野市 とちぎのしゅし

>めっちゃわかります。自分が価値があると実感していないと頑張れないですよね。一方、人に主体性を伝えたり、人と一緒になにかやるのって大変じゃないですか?

めっちゃ大変です。笑。

色々な世代や考え方の人がいるので、苦労した事も多いですね。でも、本当にやりたい事であったり、価値を感じるものであれば、やっていけると感じています。

ゴールを明確にして伝える。その過程をシェアし合いながら、高めあっていけるといいですね。

うまくいかなかったら、一旦止めてみる

あとは、人が足らなくなってしまったり、事業のサイクルが悪い時は、その事業を一旦止めて、他の事業をすればいい。みたいな考え方も持っています。

>なるほど。すごい!俯瞰で見て真逆の発想というか、両極にある発想だ。うまくいかない時って、「どう改善するか」って考えがちですよね。「継続しなければならない」と、一種の固定概念というか思い込みがち。そこを取っ払って考えられているので、とても柔軟な状態ですね。

おぉ、そう言われるとなんかカッコいい。笑。

そう言ってくれたのは初めてかもしれません。ありがとうございます。

我々41歳の年代は、「今年は厄年だから」とかも理由になったりね。笑

施設案内 伊澤敦彦 吉田村ビレッジ村長 下野市 とちぎのしゅし

>たしかに。笑。そうか、どこか自然というか、集中はするけど執着しない。といった、バランスがあるんですかね。先ほどの、家業の為に地元に帰ってくる判断からは、人や家族を大切にするバランスがある印象でした。

自覚はないですが、そうなのかもしれません。

言われてみれば、カフェを始めた時も、吉田村ビレッジの施設構想している際も、東京から田舎に嫁いでくれた妻に、「近くにカフェがあった方がいいなぁ」、「珈琲豆やお花も買えるショップがあったらいいなぁ」って、暮らしを少しでもいい環境にしてあげたい。って思っていました。

>めちゃくちゃ。素敵な旦那じゃないですか!!!

なんか照れますね。後付けでかっこつけている面もありますよ。笑

>ここは、伊澤さんを理解する上で、すごく大切な所かもしれません。

私が生きてきた世界は、いかに「無駄を省いて重要点に集中するか」「効果効率を改善し成果を上げていくか」と、合理性が軸にありました。

それは、人付き合いも一緒で「無駄な人付き合いは避ける」。「つながり」は「しがらみ」にもなりえ、どこか「めんどくさい」という負という解釈が付きまとう。都心を中心とした現代のコミュニティにはこれが根底にある気がしています。

お話をうかがっていると、家業を「俺が手伝う」、奥様への「こういう環境をつくってあげたい」、地域と「こうしていきたい」など、自ら決断し、「つながり」をつくり、それをエネルギーに変換しながら様々な事を実現していらっしゃる。

田んぼ背景 伊澤敦彦 吉田村ビレッジ村長 下野市 とちぎのしゅし

その発想はなかったです。笑。

自分の中ではあたりまえなんですが、客観的に言語化されると面白いですね。

相手にとってのメリットも

>地域の方々とのコミュニケーションで大変な事ってなかったんですか?


あります。ありまくります。

行政の方々との打ち合わせで、良かれと思って「その予算の使い方はもったいない」的な話をした時は、対立的になってしまったこともあります。コミュニティによって「環境、考え方や文化は違う」という前提で対話しない。とうまくいかないと学びました。

地元農家のご高齢の先輩方と話し合う機会では「個々でバラバラにやってきたから、こうなってしまったんだ」と、生意気な話をしたんです。その時は、不思議と皆様が理解してくれたんです。この時は、自分でも驚きました。

本気でやっていると想いが伝わる事もあるし、実行し続けてきた事を信用してもらえたのかもしれません。大切なのは、ただ批判をするのではなく、相手にとっての価値(メリット)もしっかり見い出し、提案していく事だと思います。

田んぼ背景 正面 伊澤敦彦 吉田村ビレッジ村長 下野市 とちぎのしゅし

>共通の価値を見い出すって本当に大切ですね。見方を変えれば無料でコンサルティングしているとも見えます。

なるほど。そうとも見れますね。笑

でも、「自分がやりたい事でもある」って割り切る事が時には必要です。


>「自分の為」からスタートし、「大切な人の為」、「地域のみんなにもメリットを」という流れだからスムーズに行動できるのかもしれませんね。

はい。ほんとそうです。

あと、話してて気づいたのですが、親父が基盤を作ってくれていたんだとも思います。家業のいちご農家は、通常のいちご農家の3倍くらいの出荷量なんです。

それくらい、しっかり農業をやってきてくれた歴史があった。合わせて親父はJAでも役員もやったりと、積極的に地域の事にも関わってきた背景があります。息子からしても「すごい人だっ」て尊敬してます。

>なるほどー。伊澤さんの人間力や地域への想いには、ご先祖から引き継がれたモノもありそうですね。これだけ行動して形にしてきているのに、「嫌みや嫌らしさ」をあまり感じない点で、すごく合点がつくというか、まだまだその辺を掘り下げて聞きたいなぁ。今度はお父様とお話ししてみたいです。笑

楽しみを日常に

>今後の展望を教えてください。

はい、コロナで開催できていなかった吉田村まつりを2022年は開催します!

是非、遊びに来てください。

あとは、吉田村ビレッジでは、予算の関係上、まだ改装・活用できていない蔵や場所がいくつかあるんです。そこの活用を現在、構想中です。

やる人や予算などが具体化したら、コミュニケーションがとれるスナックや、ビールの醸造なんかをできるといいなぁと思っています。この辺はコロナの影響もあるので、段階的に進めていく予定です。

建物 吉田村ビレッジ 下野市 とちぎのしゅし

>よしだビレッジが、さらに魅力的になっていくわけですね!ほんと、楽しみだ!
本日はありがとうございました!

インタビューを終えて

吉田村ビレッジを案内してもらった後、前半は施設内のカフェ、後半は隣接するイタリアンカフェバールで対談形式でお話をうかがいました。どの空間もとても素敵で、料理もおいしく、その想いが相まって、すっかり魅力に魅了されていきました。

共通の見解だったのは、都心のマネをしても価値は低く、「そこにあるもの」「そこにしかないもの」を見極めて演出する事。

伊澤さんはデザイナーの経歴があったり、ご両親が地域と深く関わってきた歴史がある点は、オリジナリティがある点。しかし、自分の価値を軸とし、自らつながりをつくり、それをエネルギーに換え、実現していく発想や行動の中には、「合理性」に対して別角度の解釈がありました。

自分の「こうしたい」を、関係者にとっての「価値」にまで昇華して提案していく。簡単な事ではないですが、是非、皆様のご活動に活かしていただけると嬉しいです。

つながりをしがらみで終わらせない。どのコミュニティでも重要なポイントだと感じます。

皆さんは何を感じましたか?

関連情報

吉田村ビレッジ https://yoshidamura.com/

いざわ苺園 https://www.ichigonogelato.jp/

ラ-ぺロンツァ https://laperonza.com/

日光ドラバタさん https://www.nikko-dorabata.jp/

※とちぎのしゅし取材記事 

吉田村まつり https://tochigi-seeds.com/yoshida-muramaturi

吉田村ビレッジ https://tochigi-seeds.com/yoshidamura

メイン 伊澤敦彦 吉田村ビレッジ村長 下野市 とちぎのしゅし

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この記事を書いた人

石川智章

「栃木のしゅし」総合統括

県南エリア出身

ライフデザイン、WEBマーケティングの分野で実績を出し、都内ベンチャー企業の経営を歴任。親の闘病を機に栃木と東京の2拠点生活を開始。
「栃木の魅力を『住む視点』と『訪れる視点』から再発掘。人がイキイキできる仕組みを考えます!」
ライフデザイン、WEBマーケティングの分野で実績を出し、都内ベンチャー企業の経営を歴任。親の闘病を機に栃木と東京の2拠点生活を開始。
「栃木の魅力を『住む視点』と『訪れる視点』から再発掘。人がイキイキできる仕組みを考えます!」

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